
トヨタのクラウンのセダンが生産を終了するというニュースの直後だったと思います。
ホンダがレジェンドで自動運転のレベル3に対応したモデルを市販化するというニュースがありました。
自動運転レベル3のクルマが市販化されるのは世界初ということで一般ニュース(NHK)でも報道されました。
これまではレベル2までのクルマが市販されてきましたが、じゃあ、レベル3は何が違うのでしょうか?
自動運転レベル2とレベル3の違い

ニッサンのプロパイロットを代表とするレベル2は「ドライバーによる監視」が必要でした。
つまり、自動運転機能動作時でもドライバーは常に周囲に注意をはらいながらクルマの動きを監視している必要がありました。
一方、レベル3では「システムによる監視」となり、文面上はドライバーが監視していなくても良いことになります。
とはいえ、実際には自動運転が継続不能となった場合、すぐに運転を引き継がなければならないため、よそ見するのは危険でしょう。
実質的にはあまり変わらないと言えます。
大きく異なるのは自動運転中に事故を起こした場合です。
レベル2では完全にドライバーの責任でしたが、レベル3では企業側にも一定の責任が伴います。
もちろんドライバーも責任が問われますが。
こうしてみると、使う側からするとこれまでのレベル2と大きく変わりがありませんが、完全な自動運転に向けて一歩前進したことは間違いありません。
レジェンドに搭載されるシステムについて

では、レジェンドに搭載されるシステムについて紹介します。
名称はトラフィック・ジャム・パイロットになるそうです。
名前長いですね。
ホンダセンシングみたいにホンダパイロットにしたほうがわかりやすいのにねぇ。
このトラフィック・ジャム・パイロット、動作環境としては、
・道路区間が高速自動車国道、都市高速道路、それに接続される自動車専用道路(一部区間を除く)
・除外となるのは自車線と対向車線が中央分離帯などで区分されていない区間や急カーブ、料金所、サービスエリア、パーキングエリアなど
・自車の速度が機能作動前に30km/h未満で作動後は約50km/h以下であること
・自車の走行状況が高精度地図および全球測位衛星システムによる情報が入手できること
・ドライバーがシートベルトを着用しており、ステアリング、アクセル、ブレーキを操作していないこと
となっています。
この環境で想定されるのは高速道路の渋滞時ですね。
ここまで考えてみると、アイサイトツーリングアシストと変わらない感じではあります。
しかし、自動運転レベル3では国交省のレベル3認可ガイドラインとして
・自動運転中に動作環境からはずれる場合にはドライバーに運転を引き継ぐように警報を出して、引き継がれるまでは安全に運行を継続すること
・引き継がれない場合には安全に停車すること
を求められており、この点がこれまでの自動運転車とは違うところになっています。
この他、
・ドライバーを監視するモニタリング機能の搭載
・不正アクセス防止のためのサイバーセキュリティ対策の実施
・自動運転中の動作記録装置の搭載
・ドライバーが対応できなくなった時の時刻などの記録
・自動運転車であることを示すステッカーを後部ボディーに貼ること
を定めています。
なぜレジェンドに搭載?

トラフィック・ジャム・パイロットの初搭載車としてレジェンドが選ばれた理由は何でしょうか?
確かにこれまでもホンダのフラッグシップカーとしてレジェンドにはSH-AWD、インテリジェント・ナイトビジョンなど先進的な技術が搭載されてきました。
しかし、それはホンダのオリジナル技術であり、高価なシステムであったからではないかと考えます。
今回のトラフィック・ジャム・パイロットについては特に高価なメカニズムは使われていないと考えられています。
しかも最近のホンダセンシングの動きを見れば、サプライヤーからの機能買いでは?と憶測できます。
そう考えると、人気が無いセダンのレジェンドではなく、今ブームであるSUVで、これから新型を投入するヴェゼルなどに搭載すれば販売にも貢献するのでは?と考えます。(まあ、今後搭載されるかもしれませんが。)
まさか全車展開しないつもりなんでしょうか?
世界初の実績だけ作るつもりだったのでしょうか?
ホンダの戦略は不明ですが、是非とも今後全車に展開して欲しいものです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
では、またの機会にお会いしましょう。