5月27日に令和元年度の自動車アセスメントの評価結果が公開されたのですが、スルーしてました。
9月4日にJNCAPから「表彰式を行いましたよ」という情報を得て、改めて評価されたクルマを見ていたのですが、RAV4の評価についてちゃんと見ていなかったことに気がつきました。
そこで今回はRAV4の評価結果について感想を書きたいと思います。
はじめに
RAV4は予防安全性能評価では満点を逃していますが、衝突安全性能評価では令和元年度で最高得点を獲得しています。
ただ、最高得点と言っても衝突安全性能評価大賞は獲得できていません。(衝突安全性能評価大賞とは、衝突安全性能評価の得点がこれまでの最高得点を超えたものを言います。)
予防安全性能評価
予防安全評価の点数は以下の通りです。
被害軽減ブレーキ【対歩行者】と高機能前照灯の項目で失点がありますね。
被害軽減ブレーキ[対車両] | 32.0 /32.0 |
被害軽減ブレーキ[対歩行者] | 79.6 /80.0 |
車線逸脱抑制 | 16.0 /16.0 |
後方視界情報 | 6.0 /6.0 |
高機能前照灯 | 1.4 /5.0 |
ペダル踏み間違い時加速抑制 | 2.0 /2.0 |
TOTAL | 137.0 / 141 |
被害軽減ブレーキ【対歩行者】では夜間街灯あり試験で減点されています。
CPFOシナリオ(「CPFO(Car-to-Pedestrian Farside Obstructed)」とは、試験自動車の進行方向に対して試験用ターゲットが右側から横断し、その手前に遮蔽用車両を設置して行う試験シナリオを言います。)の車速55km/hの試験で3回中2回で減速したが、停止できず、車速60km/hの試験では3回とも減速したが、停止できませんでした。
55km/h | 1回目 | 9.5km/hまで減速したが、衝突 |
2回目 | 22.3km/hまで減速したが、衝突 | |
3回目 | 停止成功 | |
60km/h | 1回目 | 35.1km/hまで減速したが、衝突 |
2日目 | 21.6km/hまで減速したが、衝突 | |
3回目 | 45.1km/hまで減速したが、衝突 |
一方、夜間街灯なし試験では、満点を獲得しています。
この結果から、ヘッドライトのみの光源では早期に人を認識できるが、ヘッドライト以外に光源がある場合は認識が遅れると言えます。
リアルワールドにおいては、街灯がある場合の方が多いと思われますので、RAV4は夜間では自動ブレーキが反応しないと考えるくらいの気持ちでいた方が良いと思います。
高機能前照灯での減点は自動防眩型前照灯(前方の先行車や対向車を検知し、眩しさを与えないようハイビームの照射範囲のうち当該車両のエリアのみを部分的に減光します。)の機能が付いていないため評価されなかったこと、自動切替型前照灯(前方の先行車や対向車を検知し、ハイビームとロービームを自動的に切り替えます。)の機能が30km/hからの作動であることが原因となっています。
衝突安全性能評価
続いて衝突安全性能評価です。
フルラップ前面衝突(運転席) | レベル 5 /5 | 11.03/12 |
フルラップ前面衝突(助手席) | レベル 5 /5 | 12/12 |
オフセット前面衝突(運転席) | レベル 5 /5 | 11.60/12 |
オフセット前面衝突(後席) | レベル 5 /5 | 11.86/12 |
側面衝突(運転席) | レベル 5 /5 | 12/12 |
後面衝突頚部保護 (運転席) | レベル 4 /5 | 9.68/12 |
後面衝突頚部保護 (助手席) | レベル 4 /5 | 9.68/12 |
歩行者保護 (頭部) | レベル 4 /5 | 3.02/4 |
歩行者保護 (脚部) | レベル 5 /5 | 4/4 |
シートベルト着用警報 | レベル 3 /5 | 2.5/4 |
TOTAL | 88.9/100 |
評価の中では後面衝突頚部保護が運転席側、助手席側ともにレベル4とやや低い評価となっています。
日本車は全般的に後面衝突に対して弱い傾向があります。
その理由は明確な国の基準が存在していないから。
基準がないのでどれだけ強度がなくても法律的に処罰されないので積極的に対策をしないんですね。
ボルボなんかは明確な社内安全基準があって、キッチリ守られています。
世界一安全なクルマといわれるだけあります。
日本ではマツダがある程度の安全性を確保しているようです。
トヨタも世界的なクルマメーカーなのだからせめてレベル5の評価が取れるようにクルマ作りをして欲しいです。
このほかには歩行者保護(頭部)での評価がやや低いです。RAV4はSUVだけあってボンネットが比較的高いので、歩行者へ与える衝撃はセダンに比べて大きくならざるをえないと考えられます。
あとはシートベルト着用警報でレベル3となっています。
この評価はシートベルトが非着用の場合に表示や音で警告を出すかで評価します。
RAV4の場合、後部座席のシートベルト非着用を音で警告を出す機能が付いていないこと、警告の表示が運転のみしか確認できない(後席に座る人が確認できない)ことで減点され、レベル3となっています。
まあ、後部座席で音で警告を出す機能なんてまだあまり普及していないと思いますのでこの評価は致し方ないと考えます。
まとめ
RAV4はデビューして1年が経過し、8月に一部改良が行われました。
残念ながら自動ブレーキ関連の機能アップについては行われなかったようですが、安全装備の充実がはかられたようです。
JNCAPでの試験結果で感じるのは元々アメリカで2018年12月に先行デビューしておよそ4カ月遅れで日本デビューしているせいか、トヨタセーフティセンスの性能が今一つな気がします。
気のせいでしょうか?
2018年12月当時の能力しかないような気がします。
とはいえ、安全性を考えてまあまあ頑張ったクルマだとは思います。
順当に考えれば来年にはマイナーチェンジが行われると思われますので、そこでキッチリとセーフティセンスも最新バージョンに機能アップさせて欲しいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
では、またの機会にお会いしましょう。
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