ホンダセンシングは新型フィットから第三世代へ

この情報は三栄書房刊ニューモデルマガジンX 1月号からのものです。

新型フィットからホンダセンシングは第三世代に入ります。

画像認識はモービルアイ製のチップを使い、ボッシュ製から変更するようです。

なぜサプライヤーを変更することになったのでしょうか?

その理由はホンダとボッシュの関係に修復できないヒビが入ったためといわれています。

ボッシュとの協業

安全デバイスをパッケージ化した初代ホンダセンシングは日本電産エレシスというサプライヤーでしたが、ホンダ内製の要素が強いものでした。

JNCAPの衝突被害軽減ブレーキ試験では「止まらないホンダセンシング」と言われてしまうほど性能が低いものでした。

一方、当時のホンダ上層部は部品やシステムをメガサプライヤーからの機能買いに切り替えることを検討していました。

前社長は自社開発を中止させてメガサプライヤーからシステムを買ってきて車両に取り付けるビジネスモデルに変えていこうとしていました。

初代ホンダセンシングは性能が低く、コストも高かったため、機能買いの候補となりました。

研究所の各部署には上層部から「ホンダ内製の技術開発をやめて機能買いに切り替えろ」という指示が届き、管理職は指示に忠実に動くようになりました。

ちょうど同じ頃に先進安全部署を統括していた当時の室長がボッシュの幹部と接触しました。

この時ボッシュ側から

「ホンダセンシングをボッシュ製に置き換えてもらえれば今まで行ってきた技術開発をボッシュが引き受ける。コストも大幅に下げる。」

と提案を受けました。

当時の室長はこの提案を受け入れ、ホンダセンシングの機能買いが決まりました。

技術者の離職が始まる

この機能買いを決めた直後から技術者の離職が相次ぎました。

ボッシュからの機能買いになればホンダでの技術開発の場がなくなり、技術者としてのキャリアが積めなくなるからです。

この時、ホンダは

「嫌なら辞めてもらって構わない。むしろ経営改革に対する不満分子に辞めてもらえて好都合だ」

という態度でした。

難航する開発

しかし、ボッシュとの開発はすぐに行き詰まります。

開発を進める上で想定しなかった不具合が発生したり、新機能の追加や性能向上を求める度にボッシュがホンダに対して修正費用を要求するということが起きました。

ボッシュ側からしてみれば修正を行うには開発と検証費用がかかるため正当な要求です。

しかし、ホンダは機能買いによってコストが下がる見込みであったにもかかわらず、逆に費用がかさんでしまい、全体のコストが大幅に上がる事態となりました。

更にホンダがあまりにも頻繁に修正を要求したり、実現不可能な要求を行い、結果的にボッシュとの関係が悪化しました。

ボッシュのある技術者は、

「そんな無茶な要求ばかりするのならホンダ自身で作ってみろ」

と吐き捨てたそうです。

新しいサプライヤ

こうした経緯があり、第二世代ホンダセンシングは採用し続けることが難しくなり、打ち切ることとなりました。

ホンダとしては次のサプライヤを探す必要がある訳ですが、次のサプライヤへの条件として以下を掲げました。

  • 世界最高峰の画像認識システムを開発しているモービルアイ製のチップを搭載していること。

  • 技術開発を丸ごと委託できること。

  • ホンダの要求を素直に聞くこと。

 

こうした条件にマッチしたヴァレオが選ばれました。

ヴァレオは先進安全技術のサプライヤーとしては比較的新しく、ホンダ側でコントロールしやすいという考えで選ばれました。

また、ホンダにはモービルアイ製のチップさえ使えればどこでも良いという考えもあったようです。

第三世代ホンダセンシングの開発はボッシュ時代に比べるとうまく進んでいるようです。

ホンダとしてはJNCAPで高得点を獲得することが何よりも重要と考えており、この点は満足に仕上がったようです。

また、社内での開発工数と費用も抑えることができてホクホク顔だとか。

これで搭載したフィットが目標通り売れれば文句なしでしょう。

とはいえ、同じく機能買いした電動パーキングブレーキが不具合を起こして新型フィットの発売が遅延していることを考えると、必ずしも問題なく進むとは限りません。

今後のフィットの動向に注目です。 

最後までお読みいただきありがとうございました。

では、またの機会にお会いしましょう。

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