知っておくべき!車両盗難の手口「リレーアタック」の被害防止策

新手の車両盗難手口である「リレーアタック」。昨年末頃から猛威が本格化しつつあると言われています。今回はリレーアタックについて紹介します。

自動車盗難の現状

警察庁が今年2月に発表した自動車盗難認知件数によると、
昨年はデータが残されている1959年以来、59年ぶりに1万件を下回り、
8628件だったそうです。
認知件数のピークだった16年前の2003年に記録した6万4223件から
約8分の1にまで減りました。
これはイモビライザーなど盗難防止装置が標準で装備されるなど市販車での
対策が進んだことが背景にありそうです。

しかし、その一方で普及が進んできたスマートキーが窃盗団の
標的になってきています。
それが、「リレーアタック」という手口です。

スマートキーは、自分で持っていたり、車内に置いておいたりすることで
エンジンスタートやドアの施錠と解錠、トランクのロック解除などが可能な
利便性を備えています。
更に自動車盗難にも威力を発揮するということで各メーカーで採用車種が
続々と増えています。
2017年に生産された国内生産車のうち約570万台がスマートキーを採用しています。

警察庁が発表したように、確かに自動車盗難件数そのものは減ってきているのでしょうが、
今度はその立役者ともなっていたスマートキーが窃盗団から狙われている
というのも皮肉なもんです。

リレーアタックとはどのような手口か?

そもそもリレーアタックとはどのような仕組みの手口なのでしょうか?

スマートキーはクルマのボディに向け、キーが微弱な電波(LF:長波)を発信し、
クルマ側はRF(高周波)と呼ばれる電波をスマートキーに発進することでIDを照合します。
このシステムを採用することで車内電波が車外に漏れ、
車内のスマートキーが車外にあるとの誤認識を防ぐようになっています。

この電波の及ぶ範囲はおおむね100㎝~130㎝前後で、
スマートキーとクルマが各々の電波を受信し、
電子的な暗号が合うことでドアロックが解除されます。
こういったシステムの高度性ゆえに、
スマートキーは盗難防止策としての有効性が評価されてきました。

リレーアタックでは窃盗団の犯行グループのひとりが、
クルマから離れたドライバーに近づき、
特殊な中継装置でドライバーが持つスマートキーの電波を受信、
中継装置で増幅した電波を犯人グループのもうひとりに送信し、
電波をリレーしながら標的のクルマに近づいていきます。

クルマは車体近くにスマートキーがあると誤認してしまうのですが、
そうなるとドアロックは解除されてエンジンが始動してしまい、
クルマは持ち去られてしまいます。
ドライバーがキーを持った状態ではなく、家にいる場合でも油断はできません。一戸建ての家で玄関近くにスマートキーを置いていて、
車庫が玄関の前といったケースではリレーアタックの標的になってしまいます。

その後、盗難車は一度エンジンを切ると走行できなくなるはずですが、
一度発進したあとに正規のスマートキー以外でエンジンがかからないことについても
すでに犯行グループ側は対策済みで、それが無効になるように一度入手した電波を
何度でも利用できるようにしているそうです。
また、動かなくなったとしてもパーツごとにバラして
海外に輸出してしまうケースも多いようです。

日本防犯設備協会によれば、リレーアタックの犯行グループは
2~3人であることが多いらしく、日本では昨年5月大阪府守口市で起きたケース
が初だったということです。
そして同じ大阪府東大阪市ではレクサスLS500が窃盗団のリレーアタックにより、
解錠された盗難未遂事件が発生(犯行グループは逃走)しました。
さらに今年1月にも大阪府茨木市内でリレーアタックによる被害が確認されました。

これまでリレーアタックの被害に遭ってきたのは2010年頃に確認された欧州が
中心だったのですが、その波がいよいよ日本にも押し寄せてきたと考えられます。
上記で記載したように自動車盗難数自体は減っています。
イモビライザーの標準装着以外にも2001年9月に
警察庁と日本損害保険協会を中心に設置された自動車盗難などの防止に関する
官民合同プロジェクトチームの取り組みが成果を上げたことも背景としてあります。

しかし、現在の盗難件数の半分はすでにリレーアタックによる被害だと
警察庁ではみており、その被害実態が正確に把握できていない可能性があるといいます。

自動車メーカー側の対策

メーカー側の対策はどうなっているのでしょうか?
トヨタとスバルではスマートキーのドアロックボタンを押しながら解錠ボタンを2回押すと、ランプが4回点滅して節電モード状態になります。
この状態だと、スマートキーでのボタン操作で微弱な電波が飛ばないようにできます。
リレーアタックの手口がスマートキーの微弱な電波を狙ったものであるため、
その電波自体を発しなくするという現時点では有効な対策であると言えます。

この節電モードにすると、スマートキーとしての利便性もなくなるのではないか?
と気になる方もいるでしょうが、ご心配なく。
スマートキーのどれかのボタンを押せば再び節電モードが
解除されるようになっています。
愛車から離れる際、節電モードに入れるようにしておくことを習慣化しましょう。

ちなみに、先代のクラウン以降のトヨタ車に加え、2016年10月に登場した
現行インプレッサ以降のスバル車にはこの機能がついています。
この両メーカーのクルマに乗っているユーザーは、
節電モードにする方法を試すことでスマートキーのランプが4回点滅すれば
対応しているかどうかがわかります。
ぜひ確認してみてください。

そのほかの国産メーカーでも現在、リレーアタックについては開発が進んできており、
マツダでは昨年6月にリレーアタック対策を施した電子キーシステムの特許を
複数取得しています。

一方、輸入車はというと、リレーアタックの被害が
比較的早くから報告されていた欧州車の中ではメルセデスベンツの対策が
進んでいるようです。
すべての車種ではないようですが、
スマートキーの電波をオフにできるようになっています。

また、ジャガーランドローバー社の10万台以上が
英国で2017年春から2018年春にかけてリレーアタックの被害に遭ったことから、
同社ではセキュリティ機能を強化しました。
レンジローバー、ランドローバーディスカバリー、ジャガーIペイスの
英国仕様についてはすでに対策済みだそうです。日本仕様についても最新のセキュリティを装備するのは喫緊の課題となるでしょう。

その他の被害防止策

メーカー側で対策がされていればそれを利用すれば良いですが、
対策がされていないクルマを所有している場合はどのような対策を行えば良いでしょうか?
被害防止のためにはスマートキーから電波を出さないようにすることです。
具体的には家の中で保管する場合は金属製の缶に保管します。
出かける場合はクルマから離れる際にスマートキーを電波遮断ポーチに入れましょう。
100円均一の携帯用灰皿でも有効なようです。
缶もポーチも事前に電波が漏れないかテストしておきましょう。
5㎝の距離でドアロックが解除できなければ遮断できていると考えて良いようです。

自動車保険業界の動き

今後、ますます国内でも猛威をふるいそうなリレーアタック。
その背景には窃盗団の手口が巧妙化し、組織化されていることがあげられます。本来、ディーラーなどの業者以外、入手しづらかった専門の機械などが
容易に入手できるようになったことも後押ししています。
もはやスマートキーを採用するモデルのオーナー全員が、
このリレーアタックによる愛車の盗難危機にさらされていると言えるでしょう。

現在のところ、損害保険会社各社ではリレーアタックに特化したような
保険商品は出ていないようです。
しかし、盗難補償のある任意保険に入り直すことによって
泣き寝入りを防ぐことはできます。

そうなると金額的には負担が増えてしまいますが、愛車を盗まれてローンだけが残るという悲しい状態になる前に、任意保険の変更を考えるのも良いかもしれません。

最後までお読みいただきありがとうございました。
ではまたの機会にお会いしましょう。