最近話題のプラットフォームについて。そしてこれからのプラットフォーム。

皆さんこんにちは。ジーボです。クルマで「プラットフォーム」という言葉をよく聞きますね。その定義はあまり明確ではないようです。

一昔前にはシャシー(車体)を共有化したものという定義だったようですが、これは長続きしませんでした。

1997年に登場した6代目ホンダアコードは「世界共通フレキシブルプラットフォームとして日本、北米、欧州、アジアとすべてに対応するシャシーを開発しました。

それは簡単に言えば「幅や長さを変えて様々なサイズのアコードを作る」という手法でした。実際にこの手法で各マーケット向けにいろいろなアコードが作られていました。しかし、この手法は派生モデルが出たり、チーフエンジニアが変わったりすると、なし崩し的にどんどん元のプラットフォームから離れてゆきがちでした。

同じようなプラットフォームの共通化はトヨタもニッサンも取り組みましたが、ホンダも含めて最終的には自然消滅していきました。つまり、見かけ上のシャシーやサスペンション部品を共有化した程度ではあまり効果は得られませんでした。

その反省から出てきたのがフォルクスワーゲンのMBQに代表される「変えない部分と変えられる部分」を明確に分けたプラットフォーム概念です。

各社とも共通するのがFFの場合で、前輪からペダルまでのフロントエンドは固定、それ以降の長さについては可変という構想です。

現代のクルマの車体設計で最も重要なのは衝突安全性能と言われています。これにかかわる最もコアな部分を変えると、衝突シミュレーションから実車試験まで全てがやり直しになります。ここでのコスト削減を考えた共通化が「プラットフォーム」の共通化と言えます。

現在「プラットフォーム」の概念というとこの考え方になります。

プラットフォームは昔と比べて性能はどれほど向上しているのか?

今のクルマの車体設計をするにあたり最も重要なのは衝突安全性であることを先に言いました。それも、法規制をクリアする最低限度の性能ではなく、各国で実施される衝突実験アセスメントで上位評価を受けられることが必要です。ボディ設計者はそこを目標に設計しているといって良いでしょう。

各メーカーのエンジニアが共通して言うのは「既存のクルマの改良では限界がある。衝突安全性能のトップをねらうならプラットフォームから変えさせてもらう必要がある」ということです。

これは裏を返せば最新の構造シミュレーションや高抗張力鋼板(組織の制御などを行って一般構造用鋼材。日本ではハイテン材とも呼ばれる。薄くできることで軽くできるのが最大のメリット)の進歩など車体設計の分野には伸びしろがあるということが言えます。

これは新しいプラットフォームを採用したクルマは衝突安全性能に関しては少なくとも旧モデルよりも格段に良くなると言っても過言ではありません。

また、新しい構造設計や材料技術の進化を車体の軽量化に向けるという考え方もあります。

その典型的な例はスズキのHERTECT(ハーテクト)です。このプラットフォームによってスイフトは120㎏の軽量化に成功しました。

一般的には衝突安全性を高めようとするとどうしてもボディが重くなります。重くなると衝突エネルギーが大きくなり、さらなる強度アップが必要になるという悪循環に陥ります。

JNCAPなどのアセスメントで高評価を得るにはボディ性能も重要ですが、エアバックの数や自動ブレーキなどの先進運転支援装備に依存する部分も大きなポイントとなっています。

こういった観点からスズキはボディをガチガチに固めて重くするよりも軽量化を重視した車体造りを選択したようです。

軽快でスポーティーに走るという意味では軽量化は魅力的です。スズキが独自の目線でプラットフォームを一新したことによってその重要性に違った角度から光をあてたと言えます。

プラットフォームは走りへ影響を与えるのか?

衝突安全性の高いボディは強度・剛性面でも優れている為、操縦性やハンドリングでもプラスの効果があります。ただし、操安性はサスペンションの設計との兼ね合いもあり、単純ではありませんが、新プラットフォームは操安性の面で旧型よりも高い潜在能力を持つことは間違いありません。

しかし、量産車を操安性以外にも克服すべき課題が山ほどあり、プラットフォームの一新だけで良くなることは多くはありません。

極端に言えば、他に何も変えず車体だけを新型プラットフォームに変えても操安性や乗り心地の変化はさほど大きくないと言えます。

トヨタのTNGA、スバルのSGP、スズキのハーテクトなどプラットフォームを一新したクルマは走りも明らかに向上していますが、それはプラットフォームだけでなく、クルマづくりの総合的な進歩が生み出したものと言えるでしょう。

新しい概念

現在はペダル付近からフロント部分をいじらないことが主流となっていますが、それは変えると面倒な部分は変えないという考えに基づいたものですが、最近はその上を行く新しい概念が登場しています。

マツダやトヨタが取り組んでいる「コモンアーキテクチャ」という考え方です。これは部品の共通化ではなく設計手法を共通化しようというもので、マツダが編み出したものです。車格やセグメントを越えて共有された「全車種を縦軸で統一する」という設計思想に基づき多様な車両を開発する車両開発コンセプトです。設計思想はエンジン、変速機、ボディ構造、シャーシーなどの大きな領域で設定されるがさらに細かい部品単位でも設定される。トヨタのTNGAのお手本とされている。

例をあげると従来エンジンでは燃焼室の設計がもっとも重要だった為、排気量違いの派生型はストロークを変えて生産していた。(面倒な部分は変えないという考え)「コモンアーキテクチャ」ではそういう制約なしでベストなボア・ストローク比で排気量違いのエンジンを設計できる。こういった設計手法には強力なCAE(コンピュータ支援エンジニアリング)ツールが必要であり、最近話題のモデルベース開発(コンピュータによるシミュレーションを積極的に取り入れた製品開発の手法。従来、実物の試作品などで行われていた動作や性能の検証をコンピュータ上でモデル化してシミュレーションを行い、製品開発の期間短縮や高効率化を図る。)が大活躍している分野でもある。

つまり、前輪からペダル付近までのフロント部をいじりたくないのは衝突シミュレーションを含めて実物の試作品などを作らなければならないからですが、そもそも作る必要がなくなれば、変えても問題ないし、効率よく、しかも最適なものが作れるということですね。

プラットフォーム開発技術の競争は消費者には見えない競争が激しく行われているようです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

では、またの機会にお会いしましょう。

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