皆さんこんにちはジーボです。
今回のお話は1988年発行、竹崎有斐さん文、清水耕蔵さん絵の「じぞうのふしぎなはさみ」です。このお話は島根県に伝わる昔話です。
あらすじ
むかしあるところにこころのやさしいおばあさんがすんでいました。
おばあさんはいつもくらいうちにおきて、とうふをつくってはとうふをいれたおけをかついで山のむこうの町までうりにいっていました。
あるさむい日のあさ、とうげまでのぼってくると、おじぞうさんがさむそうにたっていました。
おじぞうさんのあたまにはまっ白くしもがおりていました。
きのどくにおもったおばあさんはおじぞうさんのあたまのしもをはらってあげました。
そしてここでひとやすみして、町にむかってあるきはじめました。
おばあさんは町でとうふをうってあるいていましたが、そのあいだもおじぞうさんのことが気にかかっていました。
おばあさんはとうふをうったおかねであったかなずきんをつくってあげようと、赤いきれといととはりをかいました。
おばあさんはかえりみち、とうげのおじぞうさんに赤いきれを見せて、
「すぐにあったかなずきんができますよ。」
とはなしかけました。
ふと、おじぞうさんを見ると手の上にはさみが一つのっていました。
おばあさんは、おじぞうさんがこれでずきんをつくるようにいっているとおもい、はさみをもちかえりました。
うちにかえるとさっそくおじぞうさんのはさみで赤いきれをきりはじめました。
ところがふしぎ。
はさみはひとりでにうごいてきれをきってくれました。
はりもうごいてたちまちずきんができあがりました。
おばあさんははだしでは足がつめたいだろうと、おじぞうさんのためにじぶんのおびをきってちいさなたびもつくりました。
つぎの日のあさ、町へいくとちゅう、とうげのおじぞうさんにずきんをかぶせてあげました。
たびもはかせようとしましたが、石のおじぞうさんはおもたくて足をあげてくれません。
しかたがないのでじぶんではくことにしました。
するとどうでしょう。
たびをはいたとたんおばあさんは足がかるくなって、とうげみちをかけおりていきました。
たびのおかげでうちから町までなんかいもいったりきたりできるようになり、とうふがどんどんうれました。
それをきいたとなりのよくばりばあがやってきてはさみをかしてくれとたのみました。
ふしぎなはさみをつかってさいふをつくればおかねがたまるかもしれないとおもったからです。
人のいいおばあさんははさみをかしてあげました。
よくばりばあはさっそくじぞうのはさみでさいふをつくろうとしましたがはさみはちっともきれません。
「いうことをきいてきれをきれ。」
とはさみをぴしゃりとたたきました。
そのときそのはさみでゆびをけがしてしまいました。
にせもののはさみをかしてくれたとおもったよくばりばあは、おばあさんのところへどなりこみました。
にげるおばあさんをよくばりばあがおいかけます。
「おじぞうさんおたすけください。」
おばあさんがそういうと…
感想
お話の中におばあさんしか出てこないというのはめずらしいのではないでしょうか?
大体おじいさんとおばあさんか、おじいさんだけの話が多いと思います。
おじぞうさんにまつわるお話はたくさんあります。それだけおじぞうさんと人とのつながりが深かったことを意味しているのでしょう。
昔はおじぞうさんは村の境などに建てられていたそうですが、最近はすっかり見かけなくなりました。
乗り物での移動が多くなったので、気にかけなくなったように思います。
この話に出てくるよくばりばあはたびをはいているおばあさんを追いかけまわせるほどの元気さを持っていることに驚きでした。
やまんばじゃないかと思うくらいです。
追いかけまわした後、最後にどうなるのかはこの本を読んで見てください。
では、またの機会にお会いしましょう。